ファミレス飲みへの誘い

ファミレスは現代の大衆居酒屋か

景気もよく、羽振りがよかった時期は、居酒屋で浴びるほど飲み食いすることが好きだったのですが、最近は経済状況などもあまり余裕がなくなり、そんなに頻繁には居酒屋に通うことができなくなりました。

それに、居酒屋特有の騒がしさや、分煙のない環境というものも、加齢にともなって少しずつ苦手になってきたというのもあって、どんどん居酒屋から足が遠のいています。

それでも、お酒を飲むのは好きですから、美味しく楽しく飲みたいという気持ちが消えたわけではありません。

そんなときに、ファミレス飲みというものにすっかりハマってしまいました。

いまでは、たまに居酒屋に行く機会があっても、ついついファミレス飲みのお得さや美味しさと比較してしまっている自分もいます。

経済的にお酒が飲める

ファミレスで飲むことの何がいいかというと、やはり、その安さにつきると思います。

居酒屋に通っていたころは、なんの疑問もなく「お通し」というものが突き出されるままにしていたし、その分のお金を払っていたのですが、よくよく考えたら、ちょっとした小鉢程度にお通し代というのはちょっと高い、というのが実情です。

ケチくさい話に感じられるかもしれませんが、ビール一杯とおつまみを頼んだだけなのに、お通し代が追加されたために千円オーバーなんて居酒屋もあるくらいで、これには少々小首を傾げてしまいます。

ファミレス飲みであれば、まず、この「お通し代」を差し引いた状態でプランをたてて飲みはじめることができるという強みがあります。

居酒屋では少々躊躇してしまうような場面でも、ファミレスでは気軽におつまみを一品追加できるということが多いのは、この「お通し代」の有無に関わる部分が大きいように思います。

訪ねるファミレスによって違いが出てきますが、ファミレス飲みは3000円以下でたらふく飲み食いできることも多いですね。

飲みすぎていると経済感覚もちょっと麻痺するわけで、会計のときに想像以上の出費にビックリすることなどがあるわけですが、ファミレス飲みの場合であれば、逆に思ったよりも安くて驚く、ということがあります。

特に、安すぎて驚かされることが多いのは、サイゼリヤとバーミヤンになるでしょうか。この二つの店に関しては、サイゼリヤがワイン100円、バーミヤンが紹興酒100円と、「酒の最安値」が居酒屋の比較にならないということも大きいですね。

貴族階級のビール党であれば、そこそこの値段をとられる可能性もありますが、とにかく酒を安くたくさん飲みたいという自分の場合は、この一杯100円の魅力には抗えませんし、ファミレス飲みにおいては、酒の種類は極力問わないというスタイルを選択しています。

ファミレスの店舗によっては、飲み放題のメニューなどもあるので、併用することによってお得に美味しく飲みを楽しむこともできるでしょう。

環境が快適である

ファミレスは、居酒屋とは根本的に客層が違うというのも大きいですね。

居酒屋に行ったときに悩まされることの一つとして、集団で飲みにきているお客の、飲めや歌えやの大騒ぎがうるさすぎる、というのが挙げられると思いますが、ファミレス飲みは、居酒屋に顕著な集団の大騒ぎに巻き込まれることが少ない傾向があるように感じています。

一人でゆっくりお酒を飲みたい、というときは、落ち着いた行きつけのバーなどにしっぽり飲みに行くのがいいのでしょうけれど、行きつけのバーにいくほどの経済的な余裕がない、というときに、ファミレス飲みが重宝しています。

ファミレス飲みは、もちろんあらゆる喧騒から逃れているというわけではありませんが、「ここは爆音のクラブか」と錯覚するような騒音に巻き込まれる可能性が居酒屋よりはるかに少ないのは確かでしょう。

ファミレス飲みの良いところとして、お酒をあまり飲まない友人を誘いやすいという点も一つあげられるのではないかと思います。

居酒屋で飲むときの最大の争点は、お酒を飲まなかった人との「ワリカン」の問題ではないかと思います。

お酒を飲む人間とお酒を飲まない人間がほぼおなじ料金を支払う「ワリカン」は、やはり不平等なのではないかと思いますし、飲み放題などのメニューで予約するために、共通の参加費をとられる飲み会などに参加するのも、酒を飲まない層からしたらバカらしい話です。

ファミレス飲みは、酒が飲めない友人などはドリンクバーを頼めばいいのですし、自分は自分の飲む分のお酒を頼めばよいので、居酒屋で発生するような不平等な「ワリカン」が発生しません。

また、前述したような居酒屋の天地をひっくり返したような大騒ぎがないことも、酒を飲まない友人を誘いやすい理由の一つといえます。

久々の友人とゆっくりじっくりと話をしたいのに、居酒屋などに席を取ってしまうと、大声を張り上げて会話をしなければならず、煮え切らない時間を過ごすことになる、ということは往々にしてよくあることです。

ファミレスは下手な居酒屋より美味しい

ファミレス飲みの魅力として、そこそこの味のクオリティが約束されている、というのも挙げられると思います。

本当に美味しい居酒屋、というのは思ったより少なく、正直なところ、ハズれのほうが多いですし、酔っ払ってくると、だんだんと味覚も麻痺してくるもので、よっぽどの美食家でもない限り、ファミレスの提供する料理で、そこそこ美味しく飲むことが可能です。

イタリアンで飲みたいときはサイゼリヤ、中華料理が食べたい気分ならバーミヤン、ちょっとリッチに楽しみたいときはロイヤルホスト、などとファミレスを自由自在に選ぶことによって、飲み食いのバリエーションにも変化を与えることができます。

居酒屋で飲んでいて特に困るものの一つとして「シメ」に食べる料理ということになると思います。

居酒屋によっては、「お茶漬け」や「おにぎり」程度の料理にこんな値段がつけられているのか、と愕然とするような場面に立ち会うことになることになりますが、ファミレス飲みであれば、このような搾取ではなく、満足のいく「シメ」の料理でお腹を満たすことができる、というのも強みといっていいでしょう。

安く、落ち着いた環境で、美味しく楽しめてしまうのがファミレス飲みの魅力ですし、それぞれのファミレスにあわせたお気に入りの飲み方をカスタマイズしていく楽しみも、ファミレス飲み特有の密かな遊びといっていいでしょう。